フッ素

「フッ素コート」だの「フッ素コーティング」だの「フッ素樹脂」など、フッ素と言う単語を耳にする機会が最近多くなりました。フッ素コートと聞くだけで、いいもののような感じがします。では、フッ素とは一体どのような物質なのでしょうか。ここでは、フッ素の性質と、その実生活への使われ方について調べてみます。

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フッ素の基本データ

フッ素は、原子番号9番の、常温気体有色有臭の物質です。融点(固体になる温度)は-223℃、沸点(気体になる温度)は-188℃です。重さは空気よりも重いですが、空気中には存在していません。

フッ素の性質

フッ素自体はものすごくきけんな物質です。他の元素との反応性が非常に高く、ほぼ全ての元素と化合して他の物質に変化します。すぐ他のものに変化してしまいますから、フッ素単体は普通の状態では存在せず、フッ素単体を何とか取り出そうと昔から何人もの化学者が研究していました。しかし、何でもかんでも他の物質と反応してしまう性質なので、体の中にフッ素単体が入ると体の中で反応を起こしてしまい、大変なことになります。現に、フッ素を研究した当時の化学者たちも多くが体を壊し、中には命を落としてしまった人もいます。

フッ素化合物の性質

フッ素単体は非常にきけんな物質ですが、なぜ一般的に使われているのでしょうか。フッ素は、一旦何かの元素と反応して化合物になると、非常に安定した物質になる性質を持っています。これらの性質により、フッ素は単体で使われることはほとんどなく、化合物としてその安定性を利用した使い方がなされているのです。フッ素化合物は、よくわれわれが口にする食べ物や飲み物にも微量ながら含まれていますが、安定した物質であるため、体に害を及ぼすことはほとんどありません。

フッ素の利用方法

不安定なフッ素単体は、その反応性の高さから、ロケット燃料の一部として使われていますが、このようなフッ素の使用法は稀なケースです。一般的には、安定しているフッ素化合物が使われています。では、具体的にはどのように利用されているのでしょうか。

フッ素樹脂

ナイロンやポリエチレンといったものは主に水素と炭素で構成される化合物ですが、この水素をフッ素に置き換えることによって作られるものが、フッ素樹脂と呼ばれるものです。フッ素樹脂の代表的なものにテフロンがあります。テフロンは耐熱性(熱に強い)、耐薬品性(薬品によって変化しにくい)を持っているため、様々な利用法がされています。よく言われるフッ素コートやフッ素コーティングはこのテフロンなどのフッ素樹脂を塗り、変化しにくいフッ素樹脂の膜を作って、塗ったものの表面を保護しているのです。特に有名なのは、フッ素加工のフライパンでしょうか。車の洗車にもフッ素コートを売りにしているのがあります。

フッ素ゴム

フッ素樹脂は耐熱性が高く、また、変化しにくいことから、高温状況下でも安定して使用することができるため、車のエンジン周りの部品などにもよく使われています。特にパッキンなどのゴム製の部品に、フッ素が含まれたフッ素ゴムが使用されています。

フッ素フィルム

これもやはりフッ素樹脂の安定性と耐熱性を利用したものです。ビニールハウスの屋根や、屋内スポーツスタジアムの屋根などに利用されています。先日行われた、サッカーワールドカップドイツ大会の開幕戦を行ったスタジアムにも、このフッ素樹脂フィルムが使われています。

潤滑油

フッ素樹脂は、摩擦係数(滑りやすさのこと。数値が低いほど滑りやすい)が非常に低いことが知られています。そのため、エンジンオイルなどの添加物としてフッ素樹脂が使われています。ただ、効果があるかどうかははっきりしていないようです。

冷媒

冷媒とは、わかりやすくいうと、物を冷やすために使う物質のことです。冷媒に必要な条件である低温での安定性を備えているので、フッ素化合物はフロンとして使われていました。しかし、ご存知のとおり、フロンはオゾン層を破壊するとの理由から使用にせいげんがかかり、今はオゾン層にえいきょうの少ない代替フロンとしてフッ素化合物が使われています。しかしながら、代替フロンは二酸化炭素の100倍〜10000倍温室効果が高いため、その使用方法が懸念されています。

最近の歯磨き粉の中には、やはりフッ素を売りにしている商品があります。これも、今まで話してきたのと同じで、歯磨き粉にフッ素化合物を混入させ、それで歯を磨くことによってフッ素の膜を張り、歯の表面を保護するというものです。地域によっては、歯医者でわざわざフッ素塗布(歯の表面にフッ素を塗ること)をしているところもあります。しかし、歯に関してはこれだけではありません。フッ素は体の中に取り込まれると、歯や骨に堆積するという変わった性質があります。そして、フッ素と歯の表面のエナメル質が化合すると、虫歯になりにくい物質に変化することがわかり、フッ素は虫歯防止に非常に役立っているといわれるようになりました。日本の学校でも、フッ素を含んだ水で口の中をすすぐ(フッ素洗口)ことをやっているところもあります。

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